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デザインがらみのゴタゴタが多い、2020年の東京オリンピック。大丈夫かな、ニッポン。

話題になっているベルギーのシアターロゴから佐野氏は実際に何かのヒントをいただいたのか、あるいは全くの「善意の偶然」なのかは、本人にしか分からないことだろう。
ただ同業者として下世話な解釈をするならば、どうせやるならもう少し意図的に変えておかないとさ、あれじゃ似てるといわれても仕方ないよな、という「グレーさ」を感じる。でもパクリを意図してたならあんなに似せないだろうしね、意図してない割には奇妙な一致が目に余りますけどね、という感想が素直なところかな。

そんな邪推よりももっと気になるのは、あれによって発信したかったメッセージが何なのか?がピンとこないこと。うーん、わからなくもないけど、わからないこともたくさんある、という中途半端さが気になり、あれが日本の一流と呼ばれる(はずの)デザインなのかと思うといささか残念。視覚と言語をつなぐ仕事をしている身としては、なぜ選んだのか、あれを採用した方への疑問もある。「拡張性」という採用理由が耳に残っているけれども、それは「精確さ」「統一感」と同じで、ロゴマークが持つべき製作意図ではないと思うし、正座して何度も何度もあれこれ聞かないとピンと来ない「コンセプト」なのではそれだけで二流ではないだろうか。


デザインというのは、時代の空気や、トレンド、そして表したい世界観を視覚的に表現する作業なので、時代によって似てくるということは避けられない。たとえば90年代の終わりごろ、サンセリフの細長い英文書体をエレガントに使い印象的だったMac全盛時代のAppleと、Googleのロゴは同じ説明が成り立っても似てはいない。「市場のイニシアチブ」を取る気で道具としての汎用性を目指しつつも、コンテンツの自由度や世界感に染まれる美しさをたっぷりと残したAppleと、検索エンジンにより国や大陸の壁を自由横断的に乗り越えて、ウェブを七色の王国のようなあらたな世界にまとめようとしたgoogleとでは(どちらもいま想像したもの)表そうとしたメッセージが違うだろう。

私は自分がやっているこの仕事と、この業界の社会的価値を正しく評価されてさらに高めたいので「デザインのもつ力」を声高に主張したい。いいデザインはみる人の心を動かすからだ。けれども正直なところ、わずか一人のデザイナーのクセや好み、センスといったものでまかなえるほど小さな作業ではなく、ひとつの仕事の中に無限の選択肢があり、正解はなく、別の人がやれば全く別のものにもなる。
違いも、その振れ幅もとても大きな、難しい仕事なのだ。
デザイナーは「好み」で作ってると思い込んでいる素人さんは多いけれど実は全然ちがう。きゃわゆい~♪というデザインが上手なデザイナーが、実はヒゲで大柄なオッサンというギャップはよくあるし、明るくてキャピキャピした女子がびっくりするほど渋くて重厚感たっぷりのデザインを作ることも珍しくない。形にしていくノウハウは、好みではなく理論なのである。

その「違い」を一つの仕事へと帰結するために何が介在しているかというと「依頼の目的」である。依頼者にはこの「用途・目的を整理すること」の大切さがなかなか理解できない。
たとえば「なんかカッコいいの作ってよ」と言う発注者は昔からたくさんいるし、プロならば言われるまでもなくショボいものを納めて妥協して小銭を稼ぐよりも、どんな場面にもおさまりよく、主張があり、カッコよく個性的なものを作って感謝されてババンと稼ぎたいのである。そういう「人の使い方」を心得ているお客様にご注文いただき、難しい注文にもバリバリと応えて仕事をしたいと思うのがプロの心意気である。「カッコいいもの」だけでは抽象的すぎて困るのだということがわからない人も多い。初めて逢った女性に「何かおいしいものが食べたい」としか言われずにデートへ連れていき満足させるのがとても難しいのと似ている。仕事に入る前に、事前に聞きたいことはいっぱいある。


デザインや製作物をプロに依頼しなければならない人は増えているだろうと思う。セオリーがあって、それが引き継がれてきた時代もかつてあったけれど、このグローバル社会で、ツールも増えて、コミュニケーションもたえず必要な現代においては、人に何かを依頼し人を動かすことは容易ではない。そうすると、まじめでいい人ほど、作るための何かをより具体的に伝えなくては、と思うだろう。そこで「カッコいいもの」「楽しげなもの」といったまとめ方は後回しにして、ぜひとも次のことを社内や上司の方へ確認してほしい。その製作は何のためか。作ったものをどう使うのか。そして誰の心を動かしたいのか。「誰って言われても、見た人全員」というのは良い回答ではない。その成果物はどんな場面で接触できるのか。どのような成果を望むのか。そして、その製作物を依頼するにあたってのあなたの会社が置かれた状況や経営方針やそのほか思うことを、少しでも多く、たくさんの情報にして、なるべく正直に伝えてもらいたいと願う。それを整理しておかないと、仮にいい提案をもらっても、これが依頼に沿ったものなのかという判断基準が少なすぎて決められないだろうとも思う。

そのために昔から私たちの業界には、守秘義務があるのはもちろん、一業種一社という不文律があるのだから。

(飯島)

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